つい最近まで、自分は相談に乗るのが得意だと思っていたけれど実はそうではないなと分かってきた。
例えば夫に職場の人間関係について相談されても、何もいいことが言えず謝りたい気持ちになる。
なんというか、もちろん聞くことはできるんだけど、う、ああ……それはつらいね……うん……と一緒に悲しみに暮れてしまって、その人の不安を減らしたり背中を押すような実りある助言ができない。
なんか言わなきゃと思うのだけれど悲しみに引きずられて思考もストップしてしまう。
わたしの場合助言というより、その話の確認を事細かにしてしまう。正しく理解したいから。
「それでその人はなんて言ったの?どんな表情で?」
「んでなんか言い返した?そのあとは?」
とか細々と。
それで話の全容がわかったところで、うん…それはつらいね…と、なる。相談されても迷宮入りしてしまう。
その点妹は、的確にアドバイスをくれるからすごいなと思う。
「それはさ、お姉ちゃんの中でこういう思いが隠れてるからかもしれないね」
「思い切ってやってみたら?できるよー」
傾聴、気づき、背中を押す。完璧である。
同じように生きてきたのにいつの間にこんな高度なテクニックを身につけたんだ。
考えてみるに、妹は相談者のわたしといつも一定の距離を保って聞いているように思う。
わたしがメソメソと話しているときも、うんうん、と真顔でいてくれる。
思い切り共感してくれるのも嬉しいけれど、自分が取り乱しているときに一緒に取り乱されるとさらに混乱するので、ある程度こうやって冷静な立ち位置でいてくれるのは大変ありがたい。何度助けられたことか。
うんうんと真顔で聞いてくれて、最後に妹が確認を交えつつ私見を述べる。分析結果を発表するかのように。
あ、そうか。相談事には分析するような目線でいればいいのか。
一緒になってワーッとなるのもいいけれど、最後には本人が腑に落ちるようなことを言ってあげたい。そういう人間にわたしはなりたい。
基本冷静な妹だが、以前彼氏と別れたことを泣きながら報告したとき、気づいたら片目から涙をツーと流しながらいつも通りの真顔でうんうんと聞いていたことがあった。あのときは嬉しかったなあ。
いまだに何かあったときは妹に相談するし、逆にされたい。いつも何も言えないけど、妹を想う気持ちは無限大!
だから泣いちゃったり一緒に怒ったりするわけよ。
あれ、相談について考えていたのにいつの間にか妹愛の話になってもうた。