yhinatanの日記

子どもの添い寝中に書いてます。

好きになりかけたおじさんの話

新卒で入った会社で、仲の良いおじさんがいた。

おじさんがあと30歳、いや20歳でも若かったら好きになっていたと思う。

芸能人とかで超年の差カップルとかいるけど、ちょっとわかる。

中身なんだよなあ。

 

そのおじさんをちゃんと認識したのは、入社して半年ほど経った飲み会だった。

おじさんとわたしはフロアは一緒だけど別の部署だった。

「声がデカイおじさんだな。ここまで声聞こえんぞ」

くらいしか思っていなかった。

 

わたしの部署の飲み会では

人の噂話、悪口軽口が飛び交っていた。

 

部署の人は、根は良いが口の悪い人が多かったので、毎回大いに盛り上がっていた。

わたしは、口が悪い人は嫌いではないので

(潔く思えていっそ笑ってしまう)飲み会自体は苦痛ではなく、むしろ楽しんでいた。

 

ダントツ下っ端だったので、空いているグラスを片付け、常に酒を補充し、聞き役に徹する。

ある意味気楽だった。

 

入社して半年くらい経ったとき

たまたまそのおじさんのいる部署の飲み会に呼ばれた。

初めて自分の部署以外の場に参加し、そして驚いた。

会社の人の話が、一切出てこなかったのだ。

仕事の話もなし。

 

趣味の話が主で、あとはうまい酒とか、あそこの店の品揃えがなかなか良い、とか。

 

誰かが仕事に絡んだ愚痴話をしようとすると、そこの部署のトップであるおじさんが

 

「酒がまずくなるやろ〜そんな話やめぇや」

と制すのだ!!!!!

 

これはわたしにとってかなりの衝撃だった。

自分の部署の飲み会しか知らなかったわたしは、会社の飲み会といえばゴシップ、悪口を言い合って発散する場だと思っていた。

まあ、みんなの共通項は会社だから

どうしてもそれらが話しやすい話題ではあるとわかってはいたけれど

そのおじさんは周囲が置いてけぼりになるのを恐れず、というかまったく気にせず

堂々と自分の趣味であるロードバイクについて熱く語っていた。

そして

 

「みんなでロードレース大会に出よう!!

 お前ら全員チャリ買え!!!

 しごくぞ!!!」

 

と強引に話題もろとも巻き込んでいた。

 

そして大酒飲み。

ぐちゃぐちゃになるほど飲んで、声もどんどん大きくなって、でもすごい笑顔で。

人の悪口とか絶対言わない。

 

めちゃめちゃな飲み会だったけど、みんなよく笑って、本当に楽しい時間だった。

帰路の際

「会社の飲み会帰りなのに、なんでこんなスッキリした心持ちなんだろう」

とびっくりした記憶がある。

 

このおじさんとはその後も飲み会で一緒になることが多く、このおじさんと気の合う人たちが集う会にも参加するようになった。

 

類は友を呼ぶといったもので、その人たちもカラッとしたとてもいい人たちで、大好きになった。

辞めた今でもグループLINEで近況報告をし合っている。

 

あーまじで、おじさんはなんでおじさんだったんだろう。

同年代くらいだったらなー…

またおじさんとワーワー言いながら酒飲みたい。